新史太閤記

新史 太閤記

新史 太閤記

とことん明るく欲ぶかい黄金男

司馬遼太郎が描く豊臣秀吉である。
徹底的に明るくエネルギッシュでかつ策謀に富んだ男が登場する。

半兵衛の猿評である。

人懐っこさと信義のあつさは、猿の香気であり、もっとも重要な特徴であるように、半兵衛には思えた。(中略)そのくせ猿は諜略の名人というべき才器の持ち主なのである。もし猿に人懐っこさと信義のあつさがなかったなら、おそるべき詐略、詐欺、陰謀の悪漢になったであろう。

信長への忠誠は上司・部下の関係のお手本のようである。

理解されて酷使されるところに士のよろこびがあるように思われる。

好色ぶりもさんざん描かれる。

もっとも感銘をうけたのは、たくさんの人から妬みや嫌悪をいだかれるがすべてを明るく笑いを交えて乗り切るところである。
人たらしとの所以だがお見事と痛快であった。
関ヶ原の石田光成と180度違うところだ。

金はきらびやかであり、そのまわりには欲がうずまく。
まさにその二面性が秀吉にぴったりくる。